ご依頼いただいていた事件について、少し変わった成果を獲得できましたので報告させていただきます。
【事件の概要】
土地を借りたいという申し出があり、こちらとしても異論はなかったので、貸す前提で進めていました。賃料も決まっていましたので、契約書もつくりましたが、印鑑の作成の関係で捺印だけ後回しになっていました。そうしたところ、突然、やはり使わなくなったから借りないとなってしまいトラブルが起きました。いまさら借りないと言われてもというトラブルです。既に土地の上には、いくつかの資材等も置かれており、それが放置されたままにもなっていました。
法律上、契約は、口頭でも成立するとされています。しかし、裁判所はどうしても客観性を求めますので、契約書が完成していなくても既に賃貸借契約は成立していたんだと主張しても、なかなか受け入れてもらえないことが多いです。実はこの件も、既に他の弁護士に相談されていて、そこでは「難しい」という回答がなされていたという事件でした。
そこで、まずは、当初からのやりとりを細かく事実経過をうかがう作業から入りました。関連する様々な事実に関する証拠も揃え、一つひとつのやりとり、合意を、丁寧に主張立証していくという訴訟対応をとりました。こうした主張立証を丁寧に重ねていくことにより、無事、裁判所にも一定の心証を持ってもらうことができました。
他方で、既に借主が借りる気を完全に失っているなかで、裁判所が判決で、今後数十年間にわたって賃料えというのも難しいです。
裁判官も、こういう少し現実と離れた判決をするのは、どうしても躊躇します。そこで、その気配が見えたところで、現実的な対応ということで、こちらから和解協議の提案を持ちかけました。
無事、相当金額の解決金の支払いを受けると共に、土地の原状復帰と附属設備の設置をさせるという和解を獲得できました。
この事件のように、なかなかちゃんとした契約書が整えられていないからこその紛争というのは実際に多く起きています。
もちろん、事案の内容にもよりますが、ときには、契約書が完成していなくても、このように成果を収めることはできますので、諦めずに早めにご相談・ご依頼下さい。