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コラム
2016.07.31
コラム

 

沖縄で最も多い犯罪が、飲酒運転(酒気帯び運転)です。当事務所でも、刑事事件で最も多く扱っているのが飲酒運転です(民事事件では、件数でいくと浮気や離婚事件が多いです)。

 

飲酒運転のほとんどは、飲酒運転したこと自体を認めている「自白事件」ですが、たまに自分では認識がないまま飲酒運転をしてしまい検挙されてしまうことがあります(否認事件)。典型例は、二日酔いの認識がないまま運転したところ、朝の通勤中に検挙されてしまうパターンです。

 

先日、無罪判決を扱った勉強会で、この類型の否認事件で無罪になった珍しいケースの報告がありました。

その中で、被告人の遺伝子型検査をすることで、被告人が体内のアルコールを自覚しにくい体質であることを示した事件の報告がありましたので、試しにそこで紹介された遺伝子検査キットを購入して、自分の体質を検査してみました。全ては否認事件の依頼をいただいたときのための準備です。

 

そこで報告されていたのは、

GENOTYPIST アルコール感受性遺伝子分析キット(口腔粘膜用)

という1万円以下の検査キットでした。

 

この検査キットは、口の粘膜を綿棒でとって郵送するだけで、自分のアルコール感受性遺伝子のタイプを知ることができる、というものです。

 

アルコール感受性遺伝子としては、「ADH1B」と「ALDH2」の2つの型があると言われています。

この2つの遺伝子からわかる「ADH」と「ALDH」という2つの酵素は、以下のようにお酒の分解に関係しています。

 

お酒の主成分はエタノールです。エタノールは肝臓でアルコール脱水酵素(ADH)により分解されてアセトアルデヒドという毒性物質になります。

このアセトアルデヒドを分解するのがアセトアルデヒド脱水酵素(ALDH)です。アセトアルデヒドはALDHにより分解され酢酸になります。酢酸は最終的に二酸化炭素と水に分解されて体外に放出されます。

 

アルコール脱水酵素(ADH)の活性が低いとアルコールが体内に溜まるので、すぐにほろ酔い気分になります。他方、ADHの活性が高いとドンドンアルコールを分解するので、飲んでもなかなか酔っ払いません。

エタノールが分解されてできるアセトアルデヒドは毒性物質です。これが体内に残ったままだと、顔が赤くなったり気持ち悪くなったりします。アセトアルデヒドの分解酵素(ALDH)の活性が高い場合、お酒を飲んでも顔が赤くならなかったり、気持ち悪くならなかったりします(あくまでも傾向ですが)。

 

簡単に言うと、ADHの活性が低いほど、アルコールの分解が遅くすぐに酔える。ALDHの活性が低かったり非活性だと、毒素が体に長時間残るので身体への影響を受けやすく二日酔いにもなりやすいということです。ALDHが非活性な方=下戸(ゲコ)な方です(無理にお酒を飲ませてはいけません)。

 

飲酒運転との関係では、アルコールの脱水酵素(ADH)の活性が高いと、アルコールをドンドン分解し血中アルコール濃度を下げていくのですが、ADHの活性が低いと体内のアルコールがなかなか分解されないので、時間が経っても血中アルコール濃度が下がりくい傾向にあると言えそう。つまりADHの活性が低い人ほど飲酒と運転の間に時間を空ける必要があるということです(他に肝臓自体の機能が低下していると分解が遅い傾向にあります)。

 

特に注意が必要なのは、ADHの活性が低くアルコールが体内に残りやすいのにアルコールを飲める人(ALDHの活性が高い人)です。

このタイプの方は、すぐに酔えてしかもアセトアルデヒドを分解できるので、お酒を飲むのが一番楽しいタイプと言うことができそうです。このキットでも「依存症リスクが最も高い大酒飲みタイプ」とされていました。飲酒運転との関係では、アルコール血中濃度が下がりにくいのに、毒素であるアセトアルデヒドは身体の中に残りにくいので、例えば二日酔いを自覚しにくい傾向にあります。

 

そこまで高額ではないキットで自分のタイプを知ることができますので、まずは、自分の体質を知ってみるのもいいかもしれません。

 

ちなみに私の検査結果はというと………、ADH1Bは高活性型、ALDH2は活性型でした。
つまり、アルコール分解速度が速いので顔が赤くならずなかなか酔えない体質で、なおかつアセトアルデヒドを分解する能力も非常に高い体質でした。ようするに、お酒を飲んでもなかなか酔っ払わないし、たくさんお酒を飲んでも分解できるタイプです。言われてみると確かにそうかもしれません。

最近二日酔いがつらいなぁ、と最近思っていたのですが、それは単なる飲み過ぎで、あとは年齢によるものだ、ということを科学的に突きつけられてしまいました(汗)。

 

検査結果とともに、「つい飲み過ぎてしまう大酒飲みタイプ」だから気をつけましょう、というコメントが入っていましたので、少しだけ気をつけてみようと思います。

 

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