災害で家族を亡くした場合、遺族に弔慰金を支給するという「災害弔慰金」という制度があります。
東日本大震災のときに、災害弔慰金支給審査委員をした関係で、引き続きこの制度に注目しています。
災害弔慰金は一般的には「500万円」とされていますが、実際はほとんどの場合250万円しか支給されてきませんでした。昭和50年に出された通達により悪しき運用が固定化していたからです。
この通達による運用が、2016年5月25日の国会審議、具体的には民進党の広田一議員(高知)(当時)の質問を受けた河野太郎(自民)防災担当相の答弁により、熊本地震の分から見直されることになりました。
見直しによりどう変わったのかが少しわかりましたので、端的に報告させていただきます。
東日本大震災における災害弔慰金の支給件数は2万件を越えていましたが、500万円支給されたのは3827件(2015年3月末時点)わずか約19%だけでした。
熊本地震における災害弔慰金の支給件数は94件(2016年9月末)、支給総額は2億9750万円(以上独自調べ)だったので、500万円支給されたのは25件、約26%となります。
以上の数値から、運用見直しにより500万円支給されるケースが多少増えたことがわかります。
ただ、これで十分かというと、全くそういう気はしません。もっと上昇してよいはずです。
ぜひ、各地の災害弔慰金支給審査委員会と自治体は、亡くなった方が「主たる生計維持者」であったか否かを、より具体的かつ実質的に審査してほしいと思います。
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