南山法律事務所では、職員の環境重視等のため、4月29日から5月7日までお休みとさせていただきます。
関係各所のみなさまにはご迷惑をおかけいたしますが、ご理解のほど、よろしくお願い申し上げます。
なお、家族が逮捕等されたなど、お急ぎの方は留守番電話に御吹き込み下さい。連休中も、弁護士は適宜活動しておりますので、折り返し連絡させていただきます。
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ひょんなことから共謀罪について、沖縄、東京、大阪で講演をしたり、
日刊ゲンダイでも、今日から私の連載がスタートしました。縁というのは何とも不思議なものです。
さて、共謀罪の国会審議の影響で、裁判所における「令状審査」が機能しているか否かが話題になっています。西日本新聞の次の記事を参考に、コラムを書いてみたいと思います。
「共謀罪」令状却下あるの? 裁判所のチェック機能、実効性懸念も
https://www.nishinippon.co.jp/nnp/national/article/323956
裁判所の統計は、実は広くHP上で公開されています。
「司法統計」と言う言葉で検索をかければ、すぐに該当するウェブサイトが出てきます。
西日本新聞が引用している数字は、「平成27年度」「刑事事件編」で検索をかけると表示される資料の「15 令状事件の結果区分及び令状の種類別既済人員 全裁判所及び全高等・地方・簡易裁判所」からとったものであることがわかります。
刑事 平成27年度 15 令状事件の結果区分及び令状の種類別既済人員 全裁判所及び全高等・地方・簡易裁判所
http://www.courts.go.jp/app/files/toukei/622/008622.pdf
平成27年度に、裁判所は逮捕令状を100,880出しています。
一方、却下数はたった62です。
【却下/発布=0.0006%】ですから、逮捕状却下の結論をもらうのは、万馬券をあてるより難しそうです。
逮捕状を請求するのは、基本的に警察です。警察は様々な捜査をして、それを「書類」にまとめて裁判所に出します。裁判官は、その書類だけを見て、逮捕状を出すか出さないかを決めます。逮捕発布の対象である「被疑者」から事情を聞くことは、もちろんありません。先日、韓国の前大統領が、逮捕状発布前に裁判所から事情を聞かれていたのには驚かされました。日本では、まずあり得ない出来事だからです。
上記の統計のとおり、よっぽどのことがない限り、裁判官は逮捕状を出しています。
少し疑問をもつと、裁判官は警察に電話をして、こういう点について判断がつかないので発布できないでいることを知らせます。つまり事実上、証拠を追加で出すようにというやりとりがされています。取下数が1,373にも及んでいるのは、こういうやりとりがあるからです。
【却下/発布=0.0006%】という数字を見て、みなさんはどう感じられますか?
「わが国においては裁判所による審査が機能しており、捜査機関による恣意的な運用ができない仕組みになっている」
これは、金田法務大臣の国会答弁ですが、みなさんもそう感じられますか?
答えは三重に「否」です。
1 残念ながら、チェック機構として、裁判所の令状審査は機能していないと言わざるを得ません。「ザル」という批判を免れられない数字と言わざるを得ないでしょう。
2 そもそも令状審査には限界があります。捜査機関がつくった資料のみで判断するからです。しかも、実は警察から提出される資料の多くは「捜査報告書」という、警察官が自分の認識、記憶に基づいてつくた報告書です。つまり、客観性がもの凄く乏しいと言うことです。
特に、我が国では「逮捕=犯人」という風潮がありますから、逮捕状の発布に間違いがあってはなりません。厳格に審査されなければならないのですが、残念ながら上記のとおりです。せめて他国のように、裁判官が逮捕状を出す前に本人の言い分を聞くという手続きを設ける「法改正」を検討すべきでしょう。
なお、警察の仕事は逮捕状を取るまでは「犯人を捕まえること」です。しかし、逮捕状が出た後の警察、検察の仕事は、「逮捕した人を有罪にすること」です。逮捕状の発布を厳格にしなければならない理由は、ここにもあります。一度逮捕したら、「逮捕」が間違いでなかったことを示すためにも、警察と検察は、逮捕した人を有罪にするため、真犯人にするために頑張ります。そして、数多くのえん罪が生まれているというのが日本の現状です。
3 捜査機関において恣意的な運用ができるかどうかと、裁判所による審査が機能しているか否かは、そもそも別の問題です。
「どういう件を事件化して、逮捕状を請求するか」、これが警察において「恣意的な運用」ができるかどうかという問題です。
裁判所による審査は、「警察が請求したものを間違えずに判断できるか」という問題ですから、二つは似て非なる問題です。
入社試験で例えれば、どういう会社にエントリーするかという問題と、会社による選抜が公正にされているかは別の問題ですよね。金田法務大臣の答弁は、この意味で、根本的に間違っています。
本来、捜査機関はあらゆる事件を公平公正に見て、事件化するかしないか、逮捕状を請求するかしないかを判断しなければなりません。しかし実際はそうなっていません。
例えば、「警察官」自身に容疑がかかった場合、他の事件に比べて逮捕されにくいという現状があります。身内に甘いということです。甘々です。
例えば、政府の意向に反対している人に対しては、厳しく運用されているという実態があります。沖縄で米軍基地建設に反対している人たちには、極めて厳格に、要するに「ちょっとしたこと」ですぐに逮捕されています。その状況は、余りにも他の事件における運用と異なっています。基地関係で捕まった人の事件をみるたびに、「こんな微罪の事件、他でみたことない」という感想を持ちます。
その酷さは、統計上も顕著に表れています。詳しくは、こちらのコラムをご覧下さい。
「反基地適用を危惧 “疑惑”は捜査対象に 専門家指摘 標的絞り監視強化も」
【2017年3月22日(水)琉球新報 33面】
http://ryukyushimpo.jp/news/entry-464932.html
当事務所弁護士小口幸人が新聞に掲載されました。
犯罪成立の曖昧さや、捜査機関の恣意的運用への疑念が払拭されない中での「共謀罪」の国会提出・衆議院本会議での審議入りを受け、弁護士が解説しています。
抗議活動での逮捕者の弁護人も務める小口弁護士ならではの見解や、反基地運動が捜査対象となりかねない危険性など、例えを用いてお話しています。
4月3日(月)に、沖縄弁護士会主催小口弁護士が講師として共謀罪の勉強会が行われましたが、一般市民の参加も多く見受けられ、法案に対する関心の高さが窺う事が出来ました。
政治に対して『無関心』ほど怖いものは無いなと最近よく感じます。
ハッと気づいた頃には遅かった・あの時もっと関心を持って“知る”ということをすれば良かった…と後悔する前に、日頃から政治だけに止まらず、情報にアンテナを張っていたいなと思う日々です。
※関連記事
◆『共謀罪 沖縄から警鐘 県内識者に聞く 反基地運動が標的』
【2017年(平成29年)3月21日(火) 琉球新報 29面】
◆『共謀罪成立の影響解説 沖縄弁護士会が勉強会』
【2017年(平成29年)4月5日(水) 琉球新報 28面】
◆『共謀罪 人権侵害の恐れ あす国会審議 沖縄弁護士会が警鐘』
【2017年(平成29年)4月5日(水) 沖縄タイムス 28面】
◆『反基地運動脅かす 「共謀罪」人権侵害の恐れ』
【2017年(平成29年)4月7日(金) 沖縄タイムス 30面】
◆『社説 共謀罪審議入り 四たび廃案するしかない』
【2017年(平成29年)4月8日(土) 琉球新報 2面】
《事務局》
当事務所弁護士小口幸人が新聞に掲載されました。
【2017年(平成29年)3月31日(金) 沖縄タイムス 5面】
原発事故の避難指示区域の外から避難している避難者への住宅支援を、国が3月末で打ち切った件について、支援の在り方などについてお話しています。
原発事故避難者の集団訴訟で、3月17日に前橋地方裁判所にて国と東京電力の賠償責任が認められた判決も引用しながら、弁護士自身が震災直後から向き合ってきた避難者の想いや苦悩も交え、紙面にてお伝えしています。
前触れもなく慣れ親しんだ故郷を奪われ、帰りたくても家族や今ある生活の事を考えると容易に行動する訳にもいかず、苦悩と葛藤の6年だったと思います。
ましてや、小さいお子さんがいるご家庭では、健康の事や新しい土地での日常生活、友達関係など、心身共に発達著しい時期に目まぐるしく変化する状況に、子を持つ親として最善を尽くしてあげたいと思うことは、普通な事だと感じます。
1人でも多くの避難者の方が、ソフト・ハード面共に震災前の状況に一歩でも近づく様、小口の活動を通して、見守っていきたいと思います。
「原発避難者支援 継続を 国の打ち切り 許されぬ対応」
沖縄タイムス 2017年3月31日
《事務局》
当事務所弁護士小口幸人が新聞に掲載されました。
【2017年(平成29年)3月28日(日) 琉球新報 31面】
菅官房長官が翁長沖縄県知事に対し損害賠償請求に言及した件について、有識者談話としてコメントを寄せています。
名護市辺野古の新基地建設を巡り、移設阻止に向け知事が埋め立て承認を撤回した場合、知事個人に損害賠償を求める事を明言した菅氏に対し、識者からは抵抗する市民の萎縮を狙った「スクラップ訴訟」だと批判が上がっています。
先週土曜日にはキャンプ・シュワブ前で移設反対集会が行われた矢先の発言に、政府も沖縄の民意や動向が気になっているようです。
「菅氏発言恫喝だ 知事に損賠請求」
琉球新報 2017年3月28日
http://ryukyushimpo.jp/news/entry-468395.html
《事務局》