『米軍廃棄物に抗議→家宅捜索』『かつてベトナム戦訓練 やんばるの森 銃弾、手投げ弾・・・「自然遺産」を破壊』
【2021年6月10日 東京新聞20・21面】
先日の東京新聞に弁護士小口のコメントが掲載されましたので報告致します。
先日6月4日午前、東村高江の米軍北部訓練場のメインゲートで米軍車両や軍雇用員らの通行を妨害したとして、威力業務妨害の疑いで、チョウ類研究者の宮城秋乃さんの自宅が県警により家宅捜索されました。捜査員からは、4月7日に米軍基地との境界を示すイエローラインの内側に廃棄物を置き、通行を妨害したことによる家宅捜索との説明を受けたようです。
米軍北部訓練場は、かつてベトナム戦中に、米軍がゲリラ戦に備えた訓練を行っていた場所。2016年12月にその一部が返還されましたが、日米地位協定で米軍側は原状回復の義務を負わないと定められているため、後始末をせずに返還されました。
返還後、宮城さんが調査のために森に入ると、森のあちこちには、銃弾や英語表記の弾薬箱、野戦食の袋などの廃棄物が残されたままだったようです。
記事の中で宮城さんは、「これまで繰り返し廃棄物の違法性を訴えてきたが、見向きもされなかった」と言います。
他の報道記事では「返還地で火薬入りの弾薬を見つけて、通報した際、県警は職務であるのにもかかわらず回収しなかった」とも訴えています。
この件を受けて、弁護士小口はこうコメントしています。
「ゲート前に置かれた廃棄物は、ごくごく簡単に撤去できる程度のもの。それが存在することで、威力を感じさせるのか。何らかの妨げを生じさせるのか。そもそも米軍の遺失物を返そうとしただけではないのか」と述べ、その上で、「『訓練場の廃棄物を引き取ってほしい』という宮城さんの思いは、かねて県警も知っていたはず。弾薬を見つけた際には県警に届けていたわけだから。とすると、宮城さんが置いた廃棄物はどこのものなのか、なぜ置いたのかも容易に分かる。家宅捜索までして調べなければいけないことがあったとは到底思えない」と非難します。
この事件を知った時、私はすぐに「見せしめか?」と感じざるを得ませんでした。
違法性を訴えるのに、何も取り合ってくれない警察。
気付いてほしくて、どうにかしてほしくて、強く訴えると、
取り合ってくれるどころかむしろ捜査の対象になってしまう。
それが今、世界自然遺産への登録を前に「やんばるの森」で起こっている真の姿です。
《事務局》