『長野市豊野の男性 災害関連死不認定』『遺族「詳しい説明を」』
【2021年8月28日 信濃毎日新聞35面】
先日8月28日、長野市豊野の男性について、災害関連死が認められず、さらに詳しい説明がなされないままになっている件に関して、弁護士小口のコメントが掲載されましたので報告致します。
男性は、2019年10月の台風19号の災害時、高齢者施設で救助され、長野市外の病院に転院。さらに約2週間後、長野市内の別の病院に入院し、その後12月にお亡くなりになりました。遺族が災害関連死の認定制度があることを知り、長野市に災害弔慰金を申請したところ、遺族の元に長野市から届いた不認定通知書は、A4版1枚で、理由はたったの5行でした。
長野市は、災害関連死の認定基準について、避難所暮らしなどの生活環境や医療・介護環境が激変したことが原因で、病気が発症・悪化した場合に災害と相当な因果関係があると規定しています。
また、台風19号災害で災害関連死と認められた方々の中には、入所施設が被災し、転院を繰り返した事で体力が低下して死亡した方や、入所中に被災し、持病の薬が飲めない期間があり、施設を移った事による体力の低下の影響もあって死亡した方がいます。
その上で、たった2カ月の間に入院先を2度も変わらざるを得なかったこの男性は、災害関連死とは認められなかったとのことです。
2度も生活環境が変わり、心身ともにとても負荷がかかっていたはずなのに・・・不認定について、遺族の「なぜ?」が取り払われないのも無理のない事だと想像できます。
遺族は長野市に対して、亡くなった家族の不認定と、認定された事例との違いについても説明を求めますが、市は「災害との関連はない」を繰り返すだけだったと言います。
弁護士小口は「なぜ災害と関連がないか説明が不十分ではないか」と指摘し、さらに東日本大震災後、岩手県山田町の災害関連死認定に関わった経験を踏まえて「遺族にとって死因と災害との関連は重大な関心事。市の説明に納得できなければ先に進むこともできない」とコメントを寄せております。
突然失った命。
急に家族や大切な人を失った方の気持ちは計り知れません。
ただ、その命や残された方々に、寄り添ってくれる姿があるだけで救われるものがあるのではないかと思います。そうすることできっと残された方々の気持ちが、少しは片付くのではないでしょうか。
災害で犠牲になった命に、しっかり、丁寧に、向き合っていただきたい、そう思います。
《事務局》