弁護士小口が担当した事件について、成果を獲得できましたので報告させていただきます。
【事件の概要】
道路交通法の「何人も、酒気を帯びて車両等を運転してはならない」に違反したという事件、つまり俗に言う飲酒運転の事件です。
飲酒運転の事件では、
① 起訴状記載の日時・場所で運転をしていた事実
② ①の運転時に酒気を帯びていた事実
の2つを検察官は立証しなければなりません。
しかしながら、検察から開示された証拠を精査したところ、①の運転の事実について客観的な証拠はなく、本人の自白(=認めた)しかありませんでした。
憲法38条3項には「何人も、自己に不利益な唯一の証拠が本人の自白である場合には、有罪とされ、または刑罰を科せられない」と定められています。
さらに、刑事訴訟法の319条2項には、「被告には、公判廷における自白であると否とを問わず、その自白が自己に不利益な唯一の証拠である場合には、有罪とされない」と定めており、一般に補強法則と呼ばれています。
補強法則は、架空の事件で国家の刑罰権が誤って行使されるのを防いだり、自白が重視されすぎることで生じる違法取調べ等を抑制するための法原理で、多くの国で採用されています。
今回のケースにおいては、自白以外に、起訴状記載の日時・場所で運転していた事実を示す証拠がありませんでした。本来であれば防犯カメラ映像がそれになり得たのですが、警察によるミスなのか、検察によるミスなのか、肝心の映像が保存されていませんでした。
【最後に】
補強証拠がないという理由で無罪の判決が下されることは極めて珍しいことです。
実際に飲酒運転があったのに無罪になるという関係性だけをみれば不正義という部分がありますが、国家が国民に刑罰を科すという刑事裁判においては、不当な人権侵害を起こさないために様々な刑事裁判のルールがあります。このルールが常日頃から守られているかをチェックするのは弁護人の基本的な使命です。
警察・検察には、ぜひ今回の件を重く受け止めて欲しいと思います。
当事務所では、刑事事件、特に無罪を争う事件に力を注いでいます。
また、刑事弁護では限られた時間の中で、事件を見極め、方針を立て、準備をし、主張する必要があります。
もちろん、今回のような成果が全ての事件で得られるわけではありませんが、最良な結果を獲得、提供できるよう、ひとつ一つの事件に取り組んでいます。
お困りの際は、早めにご相談にお越し下さい。